純粋キーボード批判の試み
PC用キーボードのキー配列はタイプライターを起源とするものです。タイプライターは1870年代にイギリスで考案され、タイピストという職業まで生み出しました。それから実に150年が経過した現在も、そのキー配列はPCのキーボードに受け継がれて来ています。そろそろPCに最適化したキー配列に刷新する頃合いではないでしょうか。
本稿では「純粋キーボード批判」と題し、キー配列について建設的に考察するものです。
キー配列は各種規格が定められていますが、絶対的なものではありません。よって、規格によるところの「標準」はこれを度外視もしくは無視します。その自由は保留されています。われわれユーザーの使いやすい「新標準」を目指して考究します。
なお、想定するユーザーは、英単語混じりの長文を書くPC中上級者とします。いわゆるオフィス用途(メール、Excel、テキストエディターなど)を暗黙のうちに前提としており、音楽、動画、ゲームなどは想定していないことを予めお断りしておきます。また、独立したキーボードを念頭に「批判」を進めますので、ひとまずデスクトップPCのキーボードが対象です。
もっと使いやすくなれ,キーボード!
[Insert]キーはタイプライターに起源をもつキーで、PCにおいては使わないどころか邪魔なだけです。英単語混じりの長文を書くPC中上級者であれば、皆さん承知しているところですので、説明は無用です。
タイプライターの標準が「世紀を越えて」しぶとく今も生きています。廃止する第一のキーこそ[Insert]です。実は、筆者はキーボードから[Insert]を廃止した意匠の権利を持つ者です。
本稿「純粋キーボード批判」では、このように根拠を明白に示しながら、キーボードを建設的に批判していきます。そして、そのうえで、代案を提示するものです。ガラス玉鍵盤®と称します。
スペースキーかスペースバーか
英文は、単語と単語をスペースで区切ります。
This is a pen.
この短文は3個のスペースで区切られていることから明らかなように、英文入力は頻繁にスペースを押します。横長のスペースバーが好都合です。
一方、日本語入力はどうでしょうか。[Space]を押す頻度は、実は少ないのです。横に長いスペースバーである必要はありません。
ただし、[Space]はかな漢字変換の「変換キー」としても使われるので、その場合は横に長いスペースバーに意味はあります。しかし、それならそれでやたらに横に長い理由はありません。付言すれば、本稿では見た目やデザインについては踏み込みません。
1990年代初頭に日本IBMが世に出した「OADG標準キーボード 5576-A01型鍵盤」のスペースキーは、一般キーの3倍の幅です。一方現在市販されているキーボードのスペースキーの横幅は4倍以上になっていて、それでなくても最前列のキー配置を窮屈にしています。3倍に戻しましょう。
全角入力時に半角空白を入力
全角入力時に半角空白を入力するには[Shift]+[Space]で行えますが、これはショートカットで、文章入力のテンポを乱します。
半角空白を「一つの文字」と考えることができます。A から Z の26文字に対して27番目の文字と見做すことができます。そうであれば半角空白を単独のキーに割り当てることには一定の妥当性を認めることができます。脱ショートカットです。
そこで、単独の半角空白キーを設けることを検討し配置位置を探します。
Caps Lock は過去の遺産
前述の通り、PC用キーボードのキー配列はタイプライターを起源とするものです。[Caps Lock]はタイプライターには必須のキーでしたが、PC用キーボードにおいてはほぼ意味を失ったキーです。過去の遺産に過ぎません。廃止が妥当でしょう。
半角/全角キーは遠かった
タイプライターは英語圏で使われ、それを日本語でも使うには、かな漢変換の機能を必要としたので[半角/全角]キーが追加されました。その配置位置は左上の「遠いところ」にされました。その制定は、日本語キーボードにとっては不幸な出来事だったと思えてなりません。現在は手前に再配置できるようになりましたが、それだけのことに十年掛かりました。ただ、キーキャップの印刷はそのままです。道半ば、残念です。
変換キーはスペースとF10
全角入力時にかな漢変換するにはスペースキーを押しますが、F10を押すと半角英数に変換できます。
たとえば、全角入力時に s p a s e と打鍵すると「sぱせ」と表示されます。ここでF10を押すと、space → SPACE → Space と順次変換されます。
英単語混じりの文章を書くときに、半角/全角を切り替えることなく半角英数を書くことができるわけで、これは重宝します。
ファンクションキーは必要か否か
F10は重宝されますが、F1~F12はどうでしょうか。F2とF3以外は必要ないというのが、ここでの結論です。F2はExcelでセル編集に多用します。F3は検索に使います。それら以外は、ショートカットやマウス操作で必要十分です。
もともとファンクションキーは一列に並べられ、番号が振られた、素気ない機械的なキー配列であり、Fキーそれぞれに何のキーなのか、ユーザーに記憶を強要するものであって、UI(ユーザーインターフェース)の観点から、人間的ではない、不親切なものと思えてなりません。
F2、F3、F10だけ残し、あとの9個は廃止を提案するものです。3個なら記憶は容易です。
QWERTY配列は世紀を越えて
以上、[Insert]は廃止 / スペースキーは横に長い必要はない / 全角入力時の半角空白キーを設ける / [Caps Lock]は過去の遺産に過ぎない / 半角/全角キーの配置位置 / F10は重宝するキー / ファンクションキーはF2、F3、F10だけ残しあとは廃止、これらについて述べてきました。
さて、QWERTY配列は如何でしょうか。これは改変できないと思います。多くの人々の指が覚えてしまっています。「体が覚えている」は小脳などが運動パターンを記録・制御する働きです。したがって、QWERTY配列は世紀を越えて使われ続けるでしょう。
さいごに[Ctrl]キーについて一言
ショートカットキーで様々な操作ができます。[Ctrl]キーを使うことが多いので、[Ctrl]キーの打鍵面積を拡大することを提案して、本稿を閉じます。
補遺
ここで述べたものを具現化するに当たって、意匠出願の準備も進めています。出願後に新標準キー配列を提示します。なお、現時点で登録済みの主な商標権と意匠権を一覧にしておきます。登録の日付から、十年以上前から取り組んで来たことが分ります。
・aKBD 2013/03/29(第5569778号)
・武士のキーボード 2016/07/29(第5869623号)
・忍者配列 2021/11/26(第6477154号)
・Insertキー削除の意匠 2022/07/11(意匠登録第1720134号)
・ガラス玉鍵盤 2025/11/28(第6991491号)
最終更新日: